相関社会科学コースについて

相関社会科学(Interdisciplinary Social Sciences)は、社会科学の基礎領域である法、政治、経済、社会、文化についての学問的知識を横断的にとらえ、現代の社会現象を総合的に解明することを目的とする学問です。

相関社会科学コースでは、上記の学問(ディシプリン)の基礎を学ぶとともに、(1)現代社会の構造と動態、(2)新しい共存的価値の創造、(3)問題解決の仕組みと応用、について、issue-oriented approachを活用し、従来の学問の枠組みを越えて、専門的かつ実践的な知識を学習することができます。

相関社会科学の理念は、強固な学問的基盤の上に立つ学際的創造、そして、専門的限界を打破する高度な市民性や公共性の実現にあります。

相関社会科学の体系

3つの分野 6つのコンセプト キーワード

動態社会論

人類社会の様々な局面における秩序形成と葛藤のメカニズム

現代地球社会

地球大に拡がった現代人類社会の葛藤と統合の研究

グローバル・コミュニティ/ボーダーレス時代のボーダー/世界市場経済/民族とエスニシティ/文化摩擦と共存的価値/戦争と平和/貧困/移民・難民/開発と援助/グローバル正義

公共性の構造と歴史

人類が形成してきた多様な共同体の構造と共同性概念の比較研究

公共性の存立基盤/国民国家の成立と歴史/家族とジェンダー・世代/人間における自然と文化/規範と逸脱/法と正義/国家と人権/医療と社会/ボランティアと市民的公共性/科学と技術の公共性

現代政治経済分析

現代の産業社会における構造・機能・環境の間のダイナミズム

国家・市場・組織の相互浸透と自律

現代の産業社会の諸領域における自生的秩序と強制的秩序、その関係の変容と《内なる限界》の研究

各国市場経済と政治の動態/広域経済分析/政治過程と立法/法と社会統制/多元的福祉社会/内政と外交のリンケージ/市場とハイエラーキー/文化の政治学/権力の技術論/都市政策/企業倫理・経済倫理

環境制約下の産業と技術

資源・環境・人口問題など、産業社会の《外なる限界》と人類社会

成長の限界/21世紀の産業国家/科学・技術/工業と農業/過疎と過密/エコロジーと環境管理/アセスメント/リサイクル社会/日本の人口・世界の人口

情報社会科学

大量のデータが観測・蓄積されるなかでの、社会における不確実事象の効率的なモデル化と分析・予測

情報環境論

情報化の進展が人類社会の政治・経済・社会に及ぼすマクロな影響の研究

コンピュータ社会の文明史/情報社会・情報産業・情報倫理/文化とコミュニケーション/高度消費社会/都市の文化変容/市場と情報/マス・メディア/ネットワーキング

データの解析とモデリング

統計的・数学的手法による社会現象の分析

高次元・高頻度・大量データ/計量社会科学/数理モデル/社会調査/情報抽出/リスク・不確実性

カリキュラム概観

相関社会科学コースの授業は、どれも小人数で、教官と学生の間に活発な交流があることが特色です。多様なカリキュラムが学科・分科共通科目とコース科目にわたって展開され、一人ひとりの学生の学習欲求に応える配慮がなされています。

また、2009年度からは社会調査協会の運営する社会調査士資格取得制度のへの参加が始まり、所定のカリキュラムを履修すれば、卒業と同時に、社会調査士の資格が取得できるようになりました。

  1. 学科・分科共通科目:幅広い知的体力を身につける。これらの授業を通して、社会科学の基礎をコンパクトに学ぶことができます。
    • 科目例:教養学科入門I〜VI、統計学、計量社会科学研究Ⅰ/II、法学I/Ⅱ、政治学理論、経済学理論Ⅰ/II、社会学理論
  2. コース科目:相関社会科学の本体を学ぶ。これらの授業を通して、上記【相関社会科学の体系】にある3分野・6コンセプトにわたる相関社会科学の内容を集中的に学習できます。
    • 選択必修科目(3つ以上を選択):相関社会科学基礎論I/II、現代社会論I/II
    • コース科目例(講義):社会思想研究、社会意識論、数理社会科学、社会システム論、法学研究、公共性の哲学、公共政策、社会経済学、環境社会科学、地域社会分析、現代社会分析、開発経済学、文化の社会科学
    • コース科目例(演習):現代社会学演習、公共哲学演習、社会統計分析、現代経済学演習、法学研究演習、現代政治学演習、地域社会論演習、環境社会科学演習、社会学理論演習、ジェンダー論演習
  3. テーマ研究:コース生が各人の関心を生かしつつ体系的に学習を進めることができるように、相関社会科学コースではテーマ研究を推奨しています。自らが設定したテーマに沿って履修計画をたてるように、きめ細かく指導していきます。
    • テーマ例:高度産業社会における政策過程、政策科学、現代社会と組織の比較研究、環境と生活世界、現代経済の広域分析、社会秩序論、公共哲学、現代社会論、コミュニケーションの比較分析
  4. 体験学習の重視:多様な社会の現実を体験をとおして学ぶことができるように、相関社会科学コースでは、調査実習、フィールドスタディ、パネル授業、マルチメディア教育、社会人講師の招聘など、新しい手法の社会科学教育の導入を推進しています。
  5. 卒業論文:4年間にわたる大学生活の知的成果を集大成するのが卒業論文であるという観点から、相関社会科学コースでは卒業論文を非常に重要視しています。毎年5月の卒論説明会の開催、『卒業論文執筆必携』という詳しいマニュアルの配布、卒論セミナーの随時開催などにより、優れた卒業論文の完成に向けて、教官がマンツーマンで助言・指導する態勢を整えています。